21世紀の漆を考える

21世紀の漆を考える

天然素材うるし

コンセプト
天然うるしとは?
・うるしの木について
・生うるしについて
・うるし液の種類
本物とにせもの
うるし製品の価格
・生産のコスト
・流通のコスト
・社会的コスト
漆器のつくりかた
・漆液の生産と精製
・素地のつくりかた
・うるしの塗装方法
・加飾のうるし技法
・塗装工程の実際
・塗りに失敗すると
うるしは4K ?
うるしの科学
・科学(入門篇)
・少々専門的
漆は英語でjapan
漆器の主要な産地
うるしの雑学
根来椀の復元
・根来塗りとは
・実際の制作過程
・その他の試作品
イージーオーダー
・オーダー対象一覧
・パッケージについて
・対象製品 一覧
宝尽くしの加飾
家紋の加飾
扱う色について
特定商取引法に基く表示
漆製品のお手入れ方法
牛乳パックでつくる器
新 着 情 報
うるしの文献
リ ン ク

生うるしの種類

または生うるしの産地について


現在流通し使用されている漆液はほとんどが中国産
です。
樹液をそのまま使用することはなく、必要に応じて精製加工したものが使われます

国内産漆の消費量に占めるシェアは2〜5%位のようです
(資料によりデータが色々あるためとは云え少ない!)
あくまで漆液の消費量ですから、そのままの数字が製品に反映される訳ではありません
国内産漆を使用しましたと表記されることはあまり多くはありません
機能として使用する下地工程などではほとんどが中国産で、最終的な仕上げに国内産を使う例が多いようです

中国産漆が多く使われているのは価格の問題(おおよそ一桁近く安価)だけでは有りません
漆掻きをする後継者が少なく、一人で山の中の作業をすることもあり老齢化が進んでいます。掻き手(生産者)が少ないのです
中国産よりも国内産のほうが使いやすいという話を聞くことがあります
また、国内産は塗る時の伸びが良いので漆の使用量が少なくて済むといわれます

漆は酵素(ラッカーゼ)が活きていますから、育った環境で最も活性することは想像できます。気候風土の異なる環境(海を渡ってきた場合など)で本来の能力が発揮できない可能性もあります
漆の生まれ育った土地で塗るのが最良の方法かもしれません
日本産漆(国内産)
本州・四国・九州に産するものを総称しています
品質的にはほぼ共通した特徴を有しており、大きな産地としては
南部産 青森県三戸郡、岩手県二戸郡
常陸産 茨城県久慈郡・那珂郡、栃木県那須郡・芳賀郡
丹波産 京都府

とりわけ県別で岩手県産は国内の6割前後の生産量を誇ります
岩手県二戸郡浄法寺町では国宝・重要文化財の補修用に漆木の植栽が行われています

最近では産地の方々の尽力で植栽が各地で行われるようになってきました。
福島県会津若松、長野県木曽郡、石川県輪島、岡山県など増加傾向にあります

南部産漆
やや黒味を帯びた光沢があり、塗膜は非常に強靭です
常陸産
光沢は良質です、塗膜の強度は南部産よりも幾分低いようです
丹波産
光沢は良質です、塗膜は非常に強靭です
*すべて盛り辺を基準にしています

あくまでも一般論ですので、実際に入手した場合は掻いた時期や、その時の天候など変動要素は数多くあるので、上記とは一致しないことも珍しくはありません
中国産漆
中国は広大な国土を有しており、地域により風土や気象条件は大きく異なります
主要な産地は、湖北省・湖南省・四川省・西省・貴州省であり、大別すると揚子江を境に西漆、南漆となります

中国でも十年間、待たなければ収穫できない作物になりますから、人間にとっては効率の良い植物ではありません。お茶の木が育てられないような山間部に植栽されている例が多いようです。