21世紀の漆を考える

21世紀の漆を考える

天然素材うるし

コンセプト
天然うるしとは?
・うるしの木について
・生うるしについて
・うるし液の種類
本物とにせもの
うるし製品の価格
・生産のコスト
・流通のコスト
・社会的コスト
漆器のつくりかた
・漆液の生産と精製
・素地のつくりかた
・うるしの塗装方法
・加飾のうるし技法
・塗装工程の実際
・塗りに失敗すると
うるしは4K ?
うるしの科学
・科学(入門篇)
・少々専門的
漆は英語でjapan
漆器の主要な産地
うるしの雑学
根来椀の復元
・根来塗りとは
・実際の制作過程
・その他の試作品
イージーオーダー
・オーダー対象一覧
・パッケージについて
・対象製品 一覧
宝尽くしの加飾
家紋の加飾
扱う色について
特定商取引法に基く表示
漆製品のお手入れ方法
牛乳パックでつくる器
新 着 情 報
うるしの文献
リ ン ク


制作工程の実際

実際の制作工程となっておりますが、全ての漆器がこのような工程で制作されるわけではありません
教科書的な意味合いの本格的な仕上げです
例えば、お椀の場合ですと一客数万円で売られているとお考えください

本堅地(ほんかたじ)黒呂色(ろいろ)仕上げの工程です
本堅地は加工方法で一番工程数が多いため、その他の方法ではその一部を省いた制作工程となります

本堅地の工程が理解できれば、基本的な工程の流れは変わることはありません

制作の流れを理解していただく目的ですので、同一の作業が繰り返し行われる工程は一回に省略してあります

実際に制作する場合は、もちろん同一作業であっても行います
実際の作業工程を行った実写の画像です
画像は会津で実際に撮影用に制作したものです
画面上では工程による表面の違いは見分けにくいと思います

それぞれの拡大画面がご用意してあります



木地固め(きじがため)
クリックで拡大画面が開きます


木地に生漆を箆(へら)または刷毛で引き塗りして、防水性を高めます
木地に漆が染み込むことで、木地と上に塗る漆の付着が良くなり、木地の強度を高めます
充分に乾燥させることは言うまでもありません


布着せ(ぬのきせ)
クリックで拡大画面が開きます

補強を行いたい部分に、麻布を糊漆(のりうるし)で貼り付けます


布着せ研ぎ(ぬのきせとぎ)
各大画面が開きます

粗目のサンドペーパーで布着せ面を平らに削り揃えます


布目摺り(ぬのめずり)
クリックで拡大画面が開きます

布目の中の溝に、切り粉錆(きりこさび)を箆(へら)で擦りつけ凹凸を無くします


地付け(じづけ)
クリックで拡大画面が開きます

糊漆(のりうるし)に地の粉を加え練った糊地の粉を箆(へら)で下地付けを行います


地付け研ぎ(じづけとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

十分に乾燥した糊地の粉の表面を粗目の砥石で研ぎ出します


地付け固め(じづけがため)
クリックで拡大画面が開きます

樟脳(しょうのう)油を加えてシャブシャブな状態の生漆を染み込ませ、砥いだ面を固めます
通常は、地付けからの作業を三回繰り返して行います
画像は省略してあります


切り粉付け(きりこづけ)
クリックで拡大画面が開きます

地の粉、砥粉(とのこ)、生漆(きうるし)を混ぜ合わせた切り粉錆(きりこさび)を用いて下地付けを行います


切り粉付け研ぎ(きりこづけとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

乾燥した切り粉錆を粗目の砥石を使って研ぎ出します


切り粉固め(きりこがため)
クリックで拡大画面が開きます

樟脳(しょうのう)油を加えてシャブシャブな状態の生漆を染み込ませ、砥いだ面を固めます

通常は地付けと同様に、切り粉錆付けからの作業を三回繰り返して行います


錆び付け(さびづけ)
クリックで拡大画面が開きます

砥粉(とのこ)と生漆(きうるし)を混ぜた錆漆(さびうるし)を用いて下地付けを行います


錆付け研ぎ(さびづけとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

乾燥した錆漆の表面を粗目の砥石を使って研ぎ出します


錆固め(さびがため)
クリックで拡大画面が開きます

樟脳(しょうのう)油を加えてシャブシャブな状態の生漆を染み込ませ、砥いだ面を固めます

通常は切り粉錆付けと同様に、錆付けからの作業を三回繰り返して行います使用する砥粉(とのこ)は粗いものから細かいものにしていきます
粗いものから一番錆、二番錆と呼びます

以上で下地の作業は終了です


ここから塗りの工程です
下塗り(したぬり)
クリックで拡大画面が開きます

刷毛を用いて黒中漆(黒で仕上げる場合、彩漆の場合は透中漆)を平均的に塗っていきます


下塗り研ぎ(したぬりとぎ)

クリックで拡大画面が開きます

乾燥した塗面を600番程度の砥石で研ぎ出します


化粧錆付け(kしょうさびづけ)
クリックで拡大画面が開きます

表面がきれいな平面にならず凹になっているので、錆漆を付けます


化粧錆研ぎ(けしょうさびとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

乾燥した錆漆面を600番程度の砥石で研ぎ出します


下塗り(二回目)
クリックで拡大画面が開きます

刷毛を用いて、黒中漆を平均的に塗り付けていきます


下塗り研ぎ(二回目)
クリックで拡大画面が開きます

乾燥した塗面を600番程度の砥石で研ぎ出します
ゴミや刷毛目が消えるまで平らに研ぎ出します


中塗り(なかぬり)
クリックで拡大画面が開きます

刷毛を用いて、黒中漆を平均的に塗り付けていきます


中塗り研ぎ(なかぬりとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

砥石を800番程度に上げ(キメの細かいものに替え)、塗面を研ぎ出します


上塗り(うわぬり)
クリックで拡大画面が開きます

黒中漆から黒呂色漆(くろろいろうるし)に替え、平均的に刷毛を用いて塗り付けていきます


上塗り研ぎ(うわぬりとぎ)
クリックで拡大画面が開きます

砥石を1000〜3000番程度に上げ(キメの細かいものに替え)、塗面を研ぎ出します


摺り漆(すりうるし)
クリックで拡大画面が開きます

研ぎ出した面に摺り漆を行います
研ぎ面を固めると同時に、見えないほどの小さな傷を埋めていきます


胴摺り(どうずり)
クリックで拡大画面が開きます

水で溶いた砥粉(とのこ)を綿につけ、胴摺りを行います


摺り漆(すりうるし)

クリックで拡大画面が開きます

樟脳(しょうのう)油で溶いた生漆を用います
胴摺りで出来た見えない程の傷を埋めていきます

通常は摺り漆は最低でも三回位は行われます


磨き(みがき)
クリックで拡大画面が開きます

菜種油で溶いた呂色上げ粉を、指先に附けて磨き上げを行います


以上で塗りの工程は終了です