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うるしを塗る工程は、大きく分けて三工程に分けられます 使用する漆も工程ごとに異なり、目的に合わせて精製漆を更に加工調整して利用します(職人さん達が自ら使いやすいように調整します) 素地により工程は変化しますが、ここでは木材を素地に仕様した場合での説明になります。具体的には本堅地(ほんかたじ)の工程です 本堅地は加工方法で一番工程数が多いため、その他の方法ではその一部を省いた制作工程となります 本堅地の工程が理解できれば、基本的な工程の流れは変わることはありません |
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木地 木地は専門の木地師が制作します 木地も「箱もの」「挽きもの」「猫足」など、それぞれに専門とする木地師がいます ここでは木地やさんから届いた素地を、下地が付けられる状態までの加工を指します |
刻苧(こくそ) イメージです |
椀などの挽きものの表面にあるキズや、指物(箱もの)などの継ぎ目等を塞いで平らにします |
木地固め(きじがため) |
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布着せ |
お椀の口の部分や箱ものの角など、使用中にぶつけたりして傷つきやすい場所の補強をする工程です 木地固めの終了した木地に目的とする部分の大きさに合わせた麻布(寒冷紗を使うこともある)を糊漆(のりうるし)で貼り付けます 糊漆(のりうるし)は生漆とでんぷん糊を練り合わせたものです 布に糊漆をヘラを使ってしごき付けたものを必要とする面に貼り付けます |
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木地調整の終わった木地は、塗るための下地をつけていきます きれいでスムースな塗りを行い漆独特な質感を出すためには欠かせない工程です 最近のクラフト・工芸では、あえてこの工程を省き布目を残す技法も行われています(布目肌、下地肌等と呼ばれます) |
下地の種類 |
本堅地(ほんかたじ)
一番手間のかかる本格的な下地です 地の粉や砥の粉を使い、数回に及ぶ下地つけ工程を行います 呂色仕上げの高級漆器などに用いられ、深みのある光沢や独特な手触りなどが得られます |
錆地(さびじ)
砥の粉と生漆を練り合わせたものを錆漆(さびうるし)と呼びます この錆漆を木地固めの上に下地としてつけたものを錆地といいます 通常は、2〜3回錆つけを行っています |
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地つけ | 地の粉と生漆を練り合わせた地の粉漆をヘラで布着せの上に平らになるように付けていきます 乾燥させた後、砥石で研ぎ出して表面をなめらかにします 地の粉(珪藻土を焼いて粉末にしたもの)石川県輪島周辺で採れる地の粉は堅く滑らかな肌になることで知られます 通常、ていねいに仕上げる場合は、三回続けて地つけを行います |
地の粉と砥の粉を生漆と練り合わせた切り粉漆をヘラで地つけの上に平らになるように付けていきます 乾燥させた後、砥石で研ぎ出して表面をなめらかにします 地の粉は粗い目、砥の粉は細目を使います 通常、ていねいに仕上げる場合は、三回続けて切り粉地つけを行います | 切り粉地つけ |
錆(さび)つけ
| 砥の粉と生漆を練り合わせた錆漆をヘラで地つけの上に平らになるように付けていきます 乾燥させた後、砥石で研ぎ出して表面をなめらかにします 通常、ていねいに仕上げる場合は、粗い錆から細かい錆と三回続けて錆つけを行います 一番錆、二番錆等と呼ばれることもあります 最後に錆固めと呼ばれる工程で、生漆を摺り込み下地が出来上がります |
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下地の工程を終了した木地に、刷毛で漆を塗っていきます 使用する漆はどのような加飾・仕上げをするかによって使い分けることになります |
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下塗り(したぬり) |
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中塗り(なかぬり) | 中塗りでは、中塗漆が用いられます。黒で仕上げる場合は黒中塗漆、その他は透中塗漆となります 漆ムロで乾燥させた後、炭で水研ぎを行い表面を平らにします |
上塗り(うわぬり) | 上塗りでは、上塗漆が用いられます。黒で仕上げる場合は黒中塗漆、その他は透中塗漆となります 色漆は透中塗漆と顔料を混ぜて練り合わせ用いられます 上塗漆は精製の段階で油分が混入されており中塗よりもツヤのある塗り上がりとなります 呂色漆は精製の段階で油分は混入されていません |
塗り立ての場合は以上で工程は終了です それ以外の仕上げ方法は、更に加飾の工程に進みます |
胴摺り(どうずり) |
砥の粉や炭の粉を使って表面を滑らかにします |
膜の厚味、色味は区別し易いように変えてあります |
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