21世紀の漆を考える

21世紀の漆を考える

天然素材うるし

コンセプト
天然うるしとは?
・うるしの木について
・生うるしについて
・うるし液の種類
本物とにせもの
うるし製品の価格
・生産のコスト
・流通のコスト
・社会的コスト
漆器のつくりかた
・漆液の生産と精製
・素地のつくりかた
・うるしの塗装方法
・加飾のうるし技法
・塗装工程の実際
・塗りに失敗すると
うるしは4K ?
うるしの科学
・科学(入門篇)
・少々専門的
漆は英語でjapan
漆器の主要な産地
うるしの雑学
根来椀の復元
・根来塗りとは
・実際の制作過程
・その他の試作品
イージーオーダー
・オーダー対象一覧
・パッケージについて
・対象製品 一覧
宝尽くしの加飾
家紋の加飾
扱う色について
特定商取引法に基く表示
漆製品のお手入れ方法
牛乳パックでつくる器
新 着 情 報
うるしの文献
リ ン ク

天然うるしとウルシ風塗装


 

現代は化学塗料が全盛です。短時間に品質の安定した製品を安価に工業生産するためです。カシュー塗料やウレタン塗装の仕上げ方法で漆のように見える加工をしたものがかなり出回っているのも事実です
素人目に見分けるのが難しい仕上げがされ、その販売をしている店でも漆塗装と表示されていることも珍しくありません。またその店の人も漆と信じている場合も十分にありえます。(漆器の専門店以外でも販売されています)

「本物の漆はどこで買えるのか?」大変に難しい問題です。間違いの無い方法は信頼できる店(漆器専門店)を選ぶしかないのですが。… …

某ブランド品などで、化学塗料を使用しながらも漆と称しているものがあります。この某デザイナーはアパレル(ファッション業界)の人達です。デザインしたご本人が天然漆と信じているとしたら不幸なことです

更に添加物で増量したり、表面は漆を使いながら下地に化学塗料などを使っている場合、外観からは判らないことも有ります。

原因は生産コストに有るわけですが、合理的に漆の特徴を損なわない方法で低コストな生産方法が有れば問題ないのですが?

あまりにもすぐれた素材(もちろん欠点もありますが)であるために、代替えの技術は確立されておりません
誤解して頂きたくないのですが、ウレタン塗装等を悪者にするつもりはありません。無色透明ですからきれいな発色が得られ、安定した品質管理もし易く、価格も安価にすることが出来ます。漆のように紫外線に弱くはないので日当たりの場所でも問題ありません
しかし本質的に異質なものですから漆を名乗るのはいかがでしょうか


昔から混ぜモノは行われていたようです。漆掻きや仲買の人達を始め目方(重さや量)で売り買いが成立していたからです。しかしハッキリとした証拠や文書は残されていません。後ろめたいことを残そうとは思わないでしょうから当然ですが。
国の予算で文化財の修復をする際は国産漆を使用することになっているようです、この修復作業で使用する漆に混ぜ物(国内産ではない漆でしょう)をして出入り差止めになった事例もあるそうです。いつの時代にも不心得な人はいるのでしょうが残念なことです。

当サイトでは天然うるし100%を前提にしています。表面加工のみならず下地の段階から天然漆を使用していることは勿論ですが、顔料についても基本的には毒性や廃棄物が懸念される物質は排除します。更に古くからの伝統であっても科学的に不合理(毒性の有無や製造時や廃棄時の有害性など)であれば、それも排除する前提でおります。

天然物質であっても有害なものはいくらでもあります。科学知識の乏しかった昔話を語って伝統だからと言っても仕方ありません。
少々難解になりますが化学塗料と漆のメカニズムは本質的に異なります。
そしてそこが、あらためて21世紀の素材と言える点なのです


うるしは昔から今日に至るまで、いつの時代にも大変に高価なものでした。
江戸時代の大名達は5〜7、8年かけて娘の嫁入り道具をうるしで誂(あつら)えたと伝えられます。
何人もの職人達が係りきりで作っても、これだけの歳月が必要だった訳で、現在は文化財として保存されている伝世品がその一部であります。

高価であったから手間暇の掛かる技法になったのか、手間暇が掛かるために高価になったのか?この点は鶏と卵でしょうが、金額や手間暇を無視できるほどの魅力が漆にあったことは間違いないでしょう。

本物を見分けてください
ほとんどのご家庭に漆器製品はあると思います
黒であれば、ほかの黒いものと並べて見てください。天然の黒漆は漆黒(更に黒く)に見えるはずです。ただし先祖代々使われてきた黒のものは、色抜けして飴(あめ)色になっている可能性があります
赤の場合は、にごりの無い純色に見えるようでしたら疑ってみる必要があるかもしれません
光沢はあまり考慮する必要は無いでしょう。もちろん丁寧に仕上げられた呂色仕上げなどでは、光沢にも深みがあるので選別できますが

見分けていただく必要があるのは、材質によって特性が違いますから、手入れ方法や扱い方がかわるからです

天然漆の特性は、金属を溶かしてしまう酸などの薬品に対しては非常に強いので、変色することはありません。熱に対しても強いので沸騰した汁を入れても問題ありません(火傷はしないでください)。
水に対してはいくらか弱さがあります。浸け置き洗いする場合は長時間(何時間も)水に入れたまま放置すると、水分を吸ってしまいます。
洗ってからすぐに水分をふき取ると良いと言われるのはこの理由からですがあまり神経質になる必要はありません
表面の硬度は塗料(合成樹脂塗料を含めても高い方に属します)としては優れていますが、金属やセラミックなどと比較すればあまり高くありません。金タワシなどの使用は表面が削れてしまいます。洗うときにご注意いただきたいのは、陶磁器の高台に釉薬がかかっていない部分は砥石と同じ状態になっています。この部分と擦れ合うと砥石で研磨していることになります。他のものと一緒に洗うときは、こすれ合うことは避けてください。

勇ましいタイトルを付けてしまいましたが、いささか歯切れの悪い内容となってしまいました
情報公開していく姿勢に変わりはないのですが、中傷や誹謗にとられかねない内容は自主規制の中でカットしています
特定のブランドを名指しても、問題が解決するとも思えません

本サイトをご理解いただければ、本物を理解する糸口にはなりますから偽者を見分ける眼力は自ずと出てくるでしょう。
そして残念なのは、このようなタイトルの項目を設けざるをえなかった点ではないでしょうか
書籍のご案内で紹介している「ほんものの漆器」のタイトルもご同慶の至りでしょうか

マーケティング・C/S(カストマーサティスファクション・顧客満足度)カタカナが氾濫していますが「丹精をこめる」モノ作りが顧客満足につながると思っています


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