漆の木は東南アジア各地に存在し、漆科の植物は600種(漆科の植物では果物の「マンゴー」も含まれます。)もあると云われ、その中でも樹液が採取出来るのは漆属の数種であり、それぞれにその地域で利用されています。産出国によりその樹液も成分が異なるため固有の製品がつくられています。
中国と日本の木はほとんど変わり有りません。厳密には相違点があるようですが、中国から伝わったという説もあります
うるし木は10m程の高さに成長しますが、3m程のヤマウルシ(同じ漆属)は樹液を掻き採ることはありません
うるしの名称は、
潤液(うるしる)・
塗汁(ぬるしる)の略と云われます
(牧野 富太郎先生の牧野植物図鑑より)
国内では秋になると黄色(赤もある)に紅葉する里の木として一般的な風景でしたが、漆を掻く人も少なくなり、かぶれることも嫌われあまり目にすることもありません。
*紅葉については赤と黄色の二色があるようで、木の種類も関係するようですが漆掻きさんの話では、掻き採られた木だけ赤くなる場合もあるようです。
【掻き子さんの話】里の木で漆を掻いたものは赤くなり、掻かないものは黄色で、山の木は掻いても黄色なのだそうです。木の種類は変わらないとも。(大ベテランの掻き子さん談)
色の違いがある原因(科学的に)をご存知の方はご一報ください
現在、岩手県が最も植栽が盛んで国内産漆では産出量も一番多く、二戸郡浄法寺町は漆の町として知られています。(このページの漆木画像素材は、殆どを浄法寺にて入手しました)
漆木は比較的成長の早い木で、殺し掻きで切り倒された根はそのまま残され、翌春には切り株から芽が出て育ち始めます。
8〜15年(生育地で相違がある)で樹液の採取が可能となります。
昔は、里に植えられたのは樹液を採取するためではなく漆の実が目的でした。蝋燭(ろうそく)の原料となる木蝋(もくろう)を実から採るためです。