漆の木は自然界では弱者 漆の樹液は樹皮と木材部の中間にある漆液溝にあり、樹皮が傷つけられると染み出してきます。そして傷口を被い固まります。切り傷が出来ると血が出てカサブタになるのと同様です。これは昆虫やカビなどの菌が侵入するのを防ぐためと考えられます。そして動物に傷つけられない様にかぶれを起こす機能を樹液に持たせているのです。一般的な樹木では、ここまで防御を固めた機能はあまり見かけません。自ら守らなければならない程弱い存在の生物と云えると思います。 |
一般的な塗料では 通常、一般的な塗料を乾燥させるためには溶剤を揮発させなければなりません いわゆるシンナーや有機溶剤、水分を空気中に垂れ流す訳です 新築の家でシックハウス症候群と呼ばれる被害が増えています これはトルエンなどの物質が接着剤や内装の塗装から屋内に放出されるために起こります 最近では粉体塗装や水性塗料も増えてきています。また天然ワックスなども見直され使用されていますが、塗料全体から見ると数%程度で問題が解決している状況にはありません。 さらに近年大きな問題となってきた内分泌撹乱性化学物質(環境ホルモン)が含まれている塗料もあります。ほんの微量でも影響のある物質を環境ホルモンと呼ぶのですから、壁など大きな面積に使用する危険性は計り知れません |
うるしの固化では 漆が乾く(固化する)ためには適当な湿度温度の環境が必要です。通常は漆ムロに入れ乾燥させます。これは乾燥(固化)するメカニズムが根本的に異なるからです。 乾燥していく過程で漆は高分子樹脂に変化していきます。この高分子樹脂が耐久性の高い膜となり、うるし独特の質感を生み出します。 したがって、このメカニズムとは異なる乾燥方法を行う増量材や薄め液の使用は控えなくてはいけません 当サイトが天然漆100%を前提にする理由です。 |
うるしの成分 漆の主成分はウルシオールで樹液の60〜65%で、ラッカーゼと言う酵素が0.2%程度含まれます。この酵素が空気中の酸素を取り込みラッカーゼを高分子樹脂に変化させるのです。そしてこの酵素が最も活性する環境が温度20〜25℃湿度65%以上なのです。カビの繁殖しやすい環境を思い浮かべてください。 この環境を変えることで乾燥時間のコントロールも可能となるのです。湿度が高い状態でも固化するのですが、80%を越すとかなり黒ずんできます。特に色漆の仕上げの時は、くすんだ黒っぽい色になってしまいます。 ここでご注意頂きたいのは、最近の住宅は密閉度が高くエアコンで温度調整をしており窓をあける機会はあまりありません。押入れの中などがこの様な環境になっている可能性があります。 漆器を乾燥させるのには良いのですが、保管場所としてはベストとは言えません。充分に乾燥した漆器はカビが生えてしまいます。もちろん他の物もカビが生えてしまいます。 うるしの弱点 |
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