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漆の採取 -漆掻き- 漆を掻く人を掻き子さんと呼び、専門の職業として行われています 木の在る所へ出掛けていって掻き取らなければならないため、遠くまで遠征することもあり孤独な作業です。 漆を掻く期間は地方によって前後しますが、6〜11月頃になります 掻き子さん一人でこの期間に多くて400本程度(山の状況などで、かなり前後する)の木を掻きます この木の生えているエリアを四等分して区画を決め、一日当たり一区画を作業し五日目に最初の区画に戻る作業を繰り返します 毎日連続で同じ木を掻くと、木を痛めてしまうためと四日程度の間を置かないと樹液が充分に出てこないためと云われます 漆を掻く手順 まず、対象となる木の足場をつくらなければ作業できません 小さな木でも下草を払う必要があり、大きな木で上の方の枝を掻くために足場を組むこともあります 道具一式を腰に着け、木の表皮を剥いでいきます。一尺(30cm)程度の間隔を置いて目立と呼ばれる印を鎌で付けていきます。これは掻いていく間隔を配分するためです これで掻く準備が出来ました。一ヵ所ごとにうるしを掻いていきます そして四日たったらその隣の位置を掻いて、これを繰り返していく訳です |
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漆の種類は樹液を採取した状態の荒味漆、ろ過してゴミ等を取り除いた生漆、更に「なやし」「くろめ」を行った精製漆に大別できます
生漆は、下地つくりなどの使用する目的に合わせ、更に加工がされます なやし なやしとは、生漆を攪拌して生漆に含まれる各成分を分散させ、全体を均質な状態にすることを指します この結果、塗ったときのなじみ流れが良くなり、塗った後の塗膜表面に残る刷毛目の凹凸を無くし肌を良くするための工程です なやしの方法や時間は、生漆の種類や性質で一定ではありません。一般的には2〜5時間位が目安となりますが生漆の状態を見極めて最適な設定をするのは勿論のことです くろめ くろめとは、生漆を攪拌しながら加熱して、生漆に含まれる水分を蒸発させて水分調整することを指します 加熱する熱源は現在ではほとんど行われていませんが太陽熱(直射日光)が古くは利用され、炭火・ガス熱・電熱器・熱風などが使用されます 加熱する温度は必ず45℃以下にしなければなりません。温度が高くなると活性を失い乾燥しない漆になってしまいます。 最終的な含水率は2〜3%になります。この水分が無いと乾燥ができなくなり、水分量で塗り肌にも影響が出てきます 補助材(添加物) 補助材は目的とする漆の種類と用途により混入されます また、生漆の性質は一定ではないので、補助材を配合して用いられます 補助剤を使用する割合は、生漆に対して多くても、10〜30%程度とされます 補助材の材料としては、乾性油・天然樹脂・水飴・蜂蜜・グリセリン・鉄粉などが用いられます 近頃では、補助材を多量に使用することは行われないようです 黒漆の作り方 一般的に、鉄粉・水酸化鉄・油煙を混入します これは一例です。うるしやさんによっては他の方法が用いられノウハウでもあります ☆水酸化鉄Fe(OH)2を使用する場合、漆一貫目(3.75kg)に対して 0.6〜0.7%(24g前後)の量を添加します 水酸化鉄を作るためには、硫酸第一鉄FeSO4・7H2Oと炭酸ナトリウムNa2CO3をそれぞれ水に溶き、溶解したら同時に混合し反応させ更に水を加えると沈殿物が生成されます。これを濾過したものが水酸化鉄となります。この水酸化鉄は空気に触れるとすぐに酸化してしまうため、「くろめ」時間とのタイミングが重要です。 くろめが終わりそうなところへ混入し攪拌をすると反応が起こり黒漆が出来あがります |
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生漆の種類と生漆を使った仲間 生漆の種類 生漆は荒味漆(樹液)をろ過したもの
生漆を使った漆いろいろ 生漆をベースに下地を作るためのペースト状のものを作ります そのままでは日保ちしないため必要に応じて自分で作らなくてはなりません。 ラップに包み、空気に触れない様にして冷蔵庫に保管すれば数日間は問題無く利用できます
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