扱う色について |
漆黒(しっこく)という表現がありますが、黒を基本の色としています 朱(赤)もうるしではよく使われている?と疑問にお感じになるかもしれませんが、銀朱と呼ばれる鮮やかな赤は使用いたしません 漆液は無色透明な塗料ではありません。固化(乾燥)する際の温度・湿度で黒ずみます。鮮やかな発色は化学塗料のようにはまいりません 蒔絵などの加飾技術が発達したのも、うるしだけでは美しい文様が描けなかったためではないかと推測しています |
銀朱を使った場合 |
ベンガラを使った場合 |
画面上では正確な色の再現は困難ですが、ベンガラの色が赤というより茶色に近いことがご理解いただけるでしょうか 赤の場合はこのベンガラを使用いたします このベンガラの成分は酸化第二鉄(いわゆる赤錆)です |
伝統的な色の顔料 うるしの黒は漆液と鉄が反応してつくられます。従って顔料を使用しない方法になります。 その他の色は漆液に顔料を混ぜることで発色させます 戦後の高度成長期のころから有害物質による汚染の問題などが取り上げられるようになりました 環境への対応は現代においては義務となりつつあります 漆は長い歴史がありますが、伝統的な顔料が使われ始めた時期に有害物質があるのかどうかの配慮はされていなかったでしょう(多分、有害物質という言葉自体がなかったかも知れません) 現在では、化学合成した顔料を使用するようになってきています |
伝統的な色の顔料について 赤⇒本朱(銀朱)と呼ばれます : 成分は硫化水銀(HgS) 黄色⇒石黄を顔料としています : 成分は硫化砒素(As2S3) 緑⇒青漆(せいしつ)と呼ばれ、黄漆と黒漆を混合して作ります 顔料の科学的成分は こちらから 水銀や砒素(ひそ)は有害であり、取り扱いの難しい物質で、化合物とは云え含有する物質を普通のゴミとして廃棄するのは問題があります 乾電池からも水銀を無くすようになっていますが、 今ご覧になっているのが液晶画面でしたらバックライトに水銀が使用されているハズです 有害な成分や化学物質を顔料として使用しない方針です 限られた色で鮮やかな発色は望めませんが ご了承下さい 加飾についても金色や銀色ではなく本物の金や銀を使用します |
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